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vol.86 インドで賄賂を要求される

犬連れインドヨガ滞在記

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今夜9時の飛行機で日本に帰ります!!!

気合いを入れて、太伯と動物検疫所に出かけた。

リキシャをチャーターして2時間。デリー郊外の動物検疫所へ。
私「こんにちは。ドクタークマールはいますか?」

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     ドクターの部屋


インド人職員「ちょっとそこで順番を待っていなさい。」

ドクタークマールを見かけないけれど、
女性の先客がいた。
ショートカットで、都会的。
おばさんだけれど、気の強い美人、
という感じだ。
肌は焼けているけれど、インド人ぽくない。スペイン人かな?

私がニコッと笑うと、
彼女も口の端を上げてニッ!と笑う。

彼女が出て行って私の番。

職員「ドクタークマールは今日学会でいません。」

私「またそういうパターンかよ。。。いや困ります。
今夜の飛行機で私は日本に帰るのです。


職員「あなたが必要な書類は何?」

日本に犬を連れて帰るのに必要なのは2点。

●「この犬は狂犬病及び伝染病にかかっていません」
という獣医の診断とサイン

●それを裏付ける政府のスタンプ

職員「じゃあ、政府のスタンプだけ押してあげるから。。。
あとは自分でなんとかして。」

私「そ、そんな。。。」

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         動物検疫所の前庭

バタン、と追い出され、玄関口を見ると、
さっきのショートカットのおばさんが、
腕を組んで立って、私を睨んでいた。

おばさん「あんた、サインが必要なんでしょ。
あたしもこれから役所に行くから、一緒に車に乗る?」

私「え?あ。。。ありがとうございます。」

話を聞くと、彼女はインド人だった。
すごいお金持ちで、旦那と離婚した後事業をして大成功。
オーストラリアに留学している娘が、
向こうで飼い始めた猫を連れて帰国するから、
今日中に書類を用意する必要があるという。

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運転手付きの車に乗り込む。
これが、トヨタのビッツだったのだけれど、
インドで乗った中で、
一番快適だった。
もうさ、インドではさ、
日本で「廃車」
としか言わないような車しかないわけ。
ただのビッツでも、傷一つなく、運転手に毎日掃除・管理され、
日本のショールームに置いてある車と変わらないきれいさ!
エアコン!清潔なシート!
ああ~~~素晴らしい!!!

私「ありがとう!ありがとうございます、マダム!
本当に感謝します!」

ニッ!と隣りのシートで微笑む彼女。
強気な女社長、て感じだなあ。。。
インドでショートカットにする女性、というだけで、
すごい先進的だし。

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あまりベラベラ喋る人ではないのかと思い、
私は太伯を抱きながら、
エアコンの快適ドライブを無言で楽しんだ。

するとマダムはおもむろに携帯電話を取り出し、

「ハロー? 娘? 私よ。
今、私の隣りに、誰が座っていると思う?
うふ。。。。日本人と、
日本テリア♡」

と話し出したので、
あ、それなりに
楽しんでいただけているんだな。。。(^^;)
と安心した。

私「娘さんはどのエアラインで、猫を連れて来るのですか?」

と聞くと、

マダム「ペットジェットよ。知ってる?」と言った。

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ペットジェット!
知ってるも何も、それは私も太伯を運ぶ手段として考えたが、
値段が高いためあきらめた、
「ペットだけを運ぶ専門の航空会社」である。
ペットが乗る空間は完璧に空調管理され、
エサも与えられ、獣医も同席しているという。

お金持ちですなー。

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ばかでかい政府の建物、みたいなエリアに着き、中に入る。
ここに、
ドクタークマールの代理人として、
サインが出来る役人さんがいるそうだ。
1時間ちかく待たされる、と聞き、
マダムはエアコンの聞いた車内で何か書類仕事をしていたけれど、

私は太伯がおしっこしたがるかも知れないので、
外にいますね。。
。とドアを明けた。
役所の建物内で、銃を持った警備員がいるので、
「その銃本物?見せて?」
「だ、だめだ。オレが怒られる。」
「いーじゃん。なにそれ、警棒?」
「や、やめてくれ。」とか、
おっちゃんに天使の微笑みを振りまきつつ待つ。

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エリートぽい服装の役人達が沢山通り過ぎ、
皆、私の事をガン見して通る。
いやあ、外国人で、ハゲで、犬連れててすみません。。。

そこにでっぷりと腹の出た、
絵に描いた様な「高慢なインドお役所人」なおっさんが表われ、
マダムの書類を見て色々談義し、サインをし、
「次は、なんだ。お前。」
みたいな事を、インド訛りの英語で聞いて来た。

私の書類を見て彼は、

「。。。ん?そもそも、
その犬を連れて来た時の入国許可証はどこだ?」
と言い、

私「私こそ知りたいです。
でも日本からいくら国際電話で申請しても、
許可証をファックス送信してくれなくて、
私がインドに来てからドクタークマールに会いに行ったら、
もう入国してるからいいじゃん、
帰国する時にまた来て、と言われたのです。」

役人「なんだそれは!けしからん!」

彼は怒号し、マダムに対してヒンドゥー語で何かを言った。
私の事を悪態づいている様だった。

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そしてわざと英語で私に聞こえるように、

役人「こうして外国人は、
インドに動物を持って来るのを、簡単だとでも思っていやがる。」

と言ったので、
私はとっても素敵にムカッときた。

おっさんよお、
何があるか分からないインドだからこそ、
書類を完備したくて山々だったのはこっちなんだよ。

犬の入国許可証を手に入れたくても、大使館は案内しない、
今時HPもなくて、国際電話をかけてもすぐ切られる。
いい加減な仕事してんのはそっちだろーが。
私がどこの組長と知り合いだと思う。
○○○○組にはアジア支部もあるんだ。
ガンジス川に浮かぶ死体を、
明日のお前の運命にしてやってもいいんだぜ。

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襟首つかんでそう言ってやりたかったが、
言ったが最後、「お前なんか逮捕だ!」とか言われて、
映画『ミッドナイト・エクスプレス』みたいになりそうなので、
ぐっと我慢した。

役人「だいたい獣医の健康診断がまだじゃないか。
ドクタークマールなら診断とサインを書けるが、
私は獣医じゃないんだ。
犬の健康診断をしてこい!ま、してきた所で、
入国許可証もない犬に対して、
私は出国許可のサインなど永遠にしないがな!」

彼はフフン、と、私を睨んだ。
なんか、「そ、そんな!お願いです!お金はいくらでも渡しますから、
なんとかサインをください!」とでも言って欲しそうだった。

でもこの時私はすでに、
この役人のサインが無くても日本に帰れる算段をつけていたので、
痛くも痒くもなかった。

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表情を変えずに落ち着いている私に、
「どうなっても知らんぞ!」と
捨て台詞を吐いて役人は建物に戻って行った。

マダム「あんた、大丈夫?
私もこの書類を航空会社に持って行かなくちゃならなくて、
もうあんたに付き合ってあげられないの。
私が知っている獣医の連絡先を教えてあげるから。。。」

マダムは携帯電話を操作して、
3つもの動物病院の名前と住所を教えてくれた。

マダム「どこも一流で、獣医は英語を話すし、良い所よ。」

私「ありがとうマダム。感謝します。
お嬢様の猫が、無事入国されると良いですね。
見ず知らずの私をこんなに助けて下さって、どうもありがとう。」

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私はお礼を言って、すぐタクシーに飛び乗った。
一番近いと思われる動物病院を目指す。

迷って迷って、結局2時間くらいかかったけれど、
高級住宅地にある動物病院に辿り着いた。

アパートの中の6畳2間。こじんまりした病院だったけれど、
女性の獣医さんはアメリカに住んでいたエリートインド人で、
感覚も都会的で、
「ああ、ペットを連れての海外旅行の書類ね。。。
以前にもイタリア人に頼まれた事があるから、分かるわよ!」と
きれいな発音の英語で言ってくれた。
頼もしい!
院内にはアメリカのドッグフードやおもちゃ、
口輪やリードなども売っている。
ああ。。。文明の香り。安心する。。。

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獣医さんは太伯の目や体をチェックし、健康である事を確認した。

獣医「なになに。。。マイクロチップ番号○○○○番が埋め込まれたこの犬、
体高○○センチ、体は白、頭は黒のこの犬は、
狂犬病及び伝染病にかかっていない事を証明する。。。
この下に、私のサインを書けばいいのね?」

私「ええ!」

獣医「あらでも。。。うちにはマイクロチップ読み取り機がないのよ。
それなら、私は証明サインは書けないわ。」

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マイクロチップ読み取り機

サーーーーッと脳内が冷めて行った。
そうだった。
マイクロチップは日本及び先進欧米国では普及しているけれど、
途上国には役所管轄でもない所が多い。

だから途上国にペットを連れて赴任する人達は、
マイクロチップを「ピッ♪」と読み込み、番号を表示する読み取り機を、
個人的に購入して持参したりするそうだ。
日本円で6千円~1万円くらい。
でも私は購入しなかった。なぜなら面倒くさいから。
でもチップで個体判別した証明サインがないと、
太伯は成田で半年間係留されてしまう。

↑以上の事を0コンマ0.00001秒で考えた後、
私はにっこり微笑んだ。

私「ええ!存じてますわ。
途上国では、マイクロチップは普及していないんですよね!
その場合はホラ!
まずは獣医さん、ここにサインして。。。その下に補足文章として、
ただしマイクロチップではなく、体高と毛の色でこの個体を判別した、
と一筆書いていただければ良いのです。」

獣医「ああ。。。それでいいのね。」

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サインと補足の一筆を書いてもらい、料金(数百円)を払い、
タクシーに戻った。

私「あ!運転手さん、まだ走らないで。
ちょっと書類書くから。。。」

私は書類の、
「マイクロチップではなく、体高と色で判別した」という補足文を、
ボールペンでグチャグチャと丸く塗りつぶした。

冗談じゃねえ。こんなもん書かれたら日本に帰れねえだろうが。

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タクシーをぶっとばし宿に帰る。
ホテルでスーツケースをまとめ、

私「夕方6時の飛行機のチェックインに間に合わないよー!」
と騒ぎながら、フロントで宿代を清算した。

私「あ、それからさ、ホテルのマネージャさん。
ここに、ちょっとインド人ぽい名前でサインしてくれない。。。
そうそう、適当でいいから。」

役人のサインが出来上がった。

結論を言うと、太伯はこれでまっすぐ家に帰ってこれた。

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いいですか、皆さん。

ここで大切なのは、
「太伯」という名前が付いたこの動物が、
狂犬病及びあらゆる伝染病にかかっていず、
インドと日本の自然環境、
生態系に影響を及ぼさない、という事であって、

抜け穴だらけ人間が作成した紙切れに、
ワイロ大好きの役人のサインがなかろうと、
個体識別のやり方に差があろうと、

私は生態系の神様に対して、
恥ずべき事は何もしていない。

帰国した翌日に日本の動物病院に行って、
太伯の全身健康診断をし、さらに安全は確認した。

太伯「けいこちゃん。」

ん?



太伯「すごい言い訳だね。」


うん。。。
私は地獄に落ちても、えんま様に意義申し立てをして、
天国に送り直してもらう自信があるよ。。。

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そうしてなんとか飛行機のチェックインに間に合いましたとさ。

次回、私が世界中いろいろ旅して来た中で、
一番面白かった事件、

「飛行機に乗せてもらえない」、をお送りします。


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